「希望の先駆けプロジェクト」 プレスリリース(2005年)
和訳:三原一夫


 国家は少女売買という社会組織を引き裂く暴力を黙って見ているわけにはいかないでしょう。そのような暴力を早急に理解する必要、解決策を明確にする必要、協力体制をつくる必要があります。そしてそれを実行することが最も重要です。その危険に直面している人々は保護される必要があります。また、その被害を受けた人々は、彼らの人生をやり直すための支援を必要としています。
 少女売買や、増加しつづけるHIV/AIDSの問題と戦うマイティ・ネパールの中核任務によって、このプロジェクトのほとんどの受益者は、売春宿から救出された女性たち、それと子どもたちです。
 マイティ・ネパールの最新データによると、少女売買の生存者のうち45%がHIV陽性です。
 「希望の先駆け」は、マイティ・ネパールと支援グループ(ドイツのボノ財団、スイスのチャンススイス、イギリスのマイティ・チルドレンズ・トラスト、ラリグラス・マイティ・ジャパン)の共通のイニシアチブです。第一段階として、マイティ・ネパールで保護している40人のHIV/AIDS患者に綿密な看護の下で医療を施します。

 ネパールでは、1988年に初のHIV/AIDSの事例が診断されました。患者の数は日ごと、月ごと、年ごとに、じわじわと増加しています。有効なデータによると、HIVは、薬物注射使用者やセックスワーカーのようなハイリスクのグループの間で高い割合で流行しています。
 1986年には、初の抗レトロウィルス治療(ARV)が導入され、最初の薬はジドブジン(Zidovudine)でした。その後数年にわたり、他の抗レトロウィルス薬である逆転写酵素阻害剤(NRTls-Nucleoside Reverse Tranciptase Inhibitors)、非逆転写酵素阻害剤(NNRTls-Non Nucleoside Reverse Tranciptase Inhibitors)およびPlsが導入されました。

 最初に、単一および二重の治療が施されましたが、ウイルス耐性の問題がありました。現在、3つ以上のARVが、HIV感染者の治療法として世界的に推奨されています。しかしながら、抗レトロウィルス療法の利用は、HIV/AIDSケアプログラムにおける完全な解決策ではありません。
 以前はARV療法は非常に高額で、ほとんどの発展途上国や後進国では購入できませんでした。
 薬が入手可能なコストになった現在では、適切で根拠のあるART利用に関するガイドラインの開発が発展途上国において重要性を持つようになりました。

「希望の先駆け」の目的
・ 最新の抗レトロウィルス治療を、マイティ・ネパールのHIV/AIDSに感染している全ての子供と女性に施す。
・ マイティ・ネパールの常勤医療チームによって全過程を監視する。
・ 患者に対し、ウィルス量やCD4細胞の定期的なテスト、および血液検査の結果による治療の変更を含めた医学的モニタリングを注意深く行う。
・ 患者への心理的、精神的サポートの充実。
・ プログラム全体の文書化。
・ HIV/AIDS治療の分野における国際基準、および最新の科学的な結果に関する最新情報の研究と定期的な更新。

マイティ・ネパールはARV療法を始めています。投薬計画は以下の通りです。
ラミブジン(Lamivudine) + ジドブジン(Zudovudine) +ネビラピン(Nevirapine)
(薬は全てCIPLA社の製品です。)